Quantcast
Channel: Ameba News [アメーバニュース]
Viewing all articles
Browse latest Browse all 104060

我ながらひどいと思います――人気主婦ブロガー「まんしゅうきつこ」さんの正体

$
0
0
 2012年も残すところあとわずか。LINEの隆盛をはじめ、ソーシャルネットワークがより浸透した1年だった。そんな中、彗星のごとく現れ、注目を集めたブログがある。それが「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」だ。当初は“マン臭きつ子”だったが、本人の家族からの苦情により、今年7月に平仮名表記に変更した。

【拡大画像や他の画像】

 あまりに強烈なタイトル・ペンネームに加え、内容も名前に劣らず面白いとあって人気が急上昇。更新頻度はそれほど高くないが、5月の開設直後から熱心な読者を獲得している。開設当初98人だったTwitterのフォロワーは2万人を突破。Googleで「まんしゅう」と入力すると、予測変換候補に「満州事変」と並んで「まんしゅうきつこ」が表示されたりする。中身は、本人の実体験などが淡々と描かれ、下ネタはあくまでスパイス。漫画家アシスタントだったという実力を感じる可愛らしいイラストとテンポのある文章、斜め上をいくオチなどが持ち味だ。

 ブログのエピソードを1つ紹介しよう。実弟が包茎手術したときのこと。お年頃の弟は「1カ月間できるだけ勃起させない」という大事なアフターケアを案の定しくじり、患部から大出血してしまう。痛みで激しく動揺する弟、血がにじんで国旗みたいなホワイトジーンズ、それを見守るしかない姉……それらが絶妙な間で描かれており、読み手をじわじわと引きこんでいく。「腹がよじれる」「涙出たw」とネットで話題になったエントリーだ。

 この天衣無縫なブログの持ち主“まんしゅうきつこ(以下、まんきつ)”さんとは一体何者なのか。ペンネームに込められた意味とは――実際に本人に話を伺うことができた。なお、まんきつさんはこれまで一切メディアで顔出ししていないが、巷で噂されている「まんきつさんは超美人」説は紛れも無い真実であったことをはじめに断っておく。

●「下ネタ耐性」を培った漫画家アシスタント時代

 まんきつさんに肩書きを尋ねると「主婦です!」という答えが帰ってきた。創作活動の場はブログがメイン。世間では漫画家として紹介されることも多いが、「まんしゅうきつこ」としてほかの媒体に出演したり、イラストの仕事を請け負うようになったのは、ブログが話題になってからの話で、それまでに漫画家として活動していたわけではない。

 若い頃に目指していた職業は「荒木飛呂彦さんのアシスタント」というなんともピンポイントなもの。「ジョジョの奇妙な冒険 第3部」にドハマリし、ジョジョの背景画を描けるようになりたいと憧れた。荒木作品の話題となると「魔少年ビューティー、武装ポーカーほか、すべて読んだ」「好きなキャラはイギーと承太郎で、吉良吉影と同じみずがめ座のA型です」など、フリークぶりを隠さない。

 学生時代は「週刊少年ジャンプ」などのアシスタント募集コーナーを頻繁にチェックする日々。なかなかチャンスが訪れないと諦めかけた時、男女問わず経験不問で募集していた、江川達也さん(ブログのK先生)のアシスタントとして採用されることに。そこで漫画のイロハを教わった。お色気シーン満載の「東京大学物語」などで知られる江川さんだけに、卑猥な言葉が日常的に飛び交う職場には初めこそ驚いたが、次第に慣れていき、「下ネタ耐性」は間違いなくこの場所で培われたという。

 22歳の頃は音楽制作に傾倒し、イチからデモテープを作成してレコード会社に投稿していたこともあるという多才なまんきつさん。結婚して一時は漫画家アシスタントの職から離れたが、リーマンショックで夫の仕事が傾いたため、家計を支えるべく再びアシスタントの道へ。ブログに登場する漫画家の「E先生」は、この時期お世話になった1人という。現在は夫の仕事が無事軌道に乗り、まんきつさんも主婦に戻っている。

●ド級のペンネームが誕生したワケ

 ブログ以外のネット歴を聞いてみると、2ちゃんねるのヘビーユーザーであることを教えてくれた。2000年の開設初期から各板を放浪し、途中は「身体・健康板」の「性病スレ」で“常駐博士”として奮闘していたらしい。最終的には「ニュース速報板」の住人(ステマ騒動以降は嫌儲民)に。2ちゃんねる発の「理系男子と話すオフ会」に参加したことなど、古参ユーザーらしく思い出話が次々に飛び出してくる。

 “ニュー速”の仲間とは、Twitterでも交流していた。当時は別のハンドルネームを使っていたが、時々誘いのメッセージが届くのが面倒になり、「一体どうすれば来なくなるんだろう」と考えた末、奇名「マン臭きつ子」を名乗ることに。ド級のペンネームはこうして誕生し、今年5月にスタートしたブログでも使われることになる。始めは細々と更新するつもりだったが、Twitterを中心にすぐ話題になり、Webメディアが取り上げると一躍有名となった。

 ヒットの理由は自分ではよく分からない。タイトルは我ながらヒドイと思うが、内容に格段の自信があるわけではない。本来は「何事もひっそりとやりたいタイプ」なため、一時は「催眠術にかかって静かな時代に戻りたい」とまで考えた。それでも、まんしゅうさんがファンだというミュージシャン・石川浩司さんがブログの読者だったことなどうれしいサプライズもあった。

 日常生活はこれといった変化はない。プライベートでは別の顔が成立しているため、最も恐れている“ママ友バレ”も今のところ大丈夫なんだとか。一方で仕事依頼は増えており、ブログの単行本化の話も進んでいるという。ブログで広がるまんしゅうさん独自の“わんだーらんど”。来年はもっと飛躍が期待できそうだ。


【関連記事】
喪女が国境を越えた 4chan民が愛する漫画「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」
“リラックマ料理”の達人現る 写真アプリ「My365」で超人気のひよこさん
「我流ラテアート」でなんでも描きます 2chで人気のまっつんさん
震災後、アクセス数は2倍に。変わらぬ日常を伝え続ける、大分合同新聞の「ミニ事件簿」が読まれる理由

Viewing all articles
Browse latest Browse all 104060

Trending Articles