排卵、女性ホルモンの分泌など、女性らしさに大きな影響を与える役割を持つ卵巣。その卵巣にできる腫瘍には、良性と悪性のものがあるそう。順天堂大学産婦人科学講座主任教授、竹田省さんによると、卵巣にできる腫瘍の9割は、良性のものなのだそう。
「良性の腫瘍を、卵巣のう腫と言います。卵巣のう腫は、必ず治療しなければいけないわけではありません。ただ、良性の腫瘍だとしても、大きくなったり、将来、悪性になることもあります。ですから、治療をしないケースでも定期的な経過観察は必要です。また症状がなくても、大きさが5cm以上になると、腫瘍はねじれやすくなります。その場合、痛くなりますので手術で病変を摘出することになります」(竹田省さん)
一方、卵巣にできる悪性腫瘍といえば、卵巣がんも心配。卵巣がんの場合、確実な検診方法がないこともあり、早期発見が難しいのが現状だとか。
「卵巣はお腹の中でぶらぶら固定されない状態になっています。そのため、がんが大きくなっても周囲の臓器を圧迫することが少なく、初期の自覚症状が乏しいのです。すぐに腸表面などに播種性転移(種をまいたようにがん組織が小さく無数に広がること)をし、約6割の人は進行がんとして発見されます。お腹の張りや下腹部のしこり、脇腹の違和感、背中・腰の痛み、貧血、頻尿といった症状がある場合は、すぐに受診してください。」(同)
また、卵巣がんの中にも、細胞の性質によって、早期で発見されてゆっくり成長するものと、進行が早いタイプがあるとのこと。では、卵巣がんを回避するには、どうすればいいの?
「卵巣がんのリスクが高いのは、家族や親戚に卵巣がん、乳がん、大腸がんなどの既往がある人や卵巣の子宮内膜症(チョコレート嚢胞)をもつ人、妊娠・出産の経験が少ない人、不妊症などです。特に、母親や姉妹に卵巣がんがある場合、リスクは5~10倍になります」(同)
排卵と大きな関係がある卵巣がんは、排卵を抑制するピル(経口避妊薬や月経困難症治療薬)を飲むことでリスクが低下するそう。内膜症や月経困難症は我慢せず、早めに治療することが肝心。まずは自分がリスクの高い危険因子を持っているかどうかを自覚することが大切とのこと。早期発見のため、婦人科検診は必ず定期的に受けて。
医学博士、順天堂大学産婦人科学講座主任教授。埼玉医科大学総合医療センター産婦人科教授などを経て、2007年から現職(順天堂大学医学部附属順天堂医院産科・婦人科)。順天堂大学医学部付属順天堂医院母子医育支援センター副センター長、同がん治療センター教授(併任)。『新版 赤ちゃんが欲しい―妊娠力を高める生活のヒントから高度生殖医療の最新情報まで』(主婦の友ベストBOOKS)など、著書多数。
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「良性の腫瘍を、卵巣のう腫と言います。卵巣のう腫は、必ず治療しなければいけないわけではありません。ただ、良性の腫瘍だとしても、大きくなったり、将来、悪性になることもあります。ですから、治療をしないケースでも定期的な経過観察は必要です。また症状がなくても、大きさが5cm以上になると、腫瘍はねじれやすくなります。その場合、痛くなりますので手術で病変を摘出することになります」(竹田省さん)
一方、卵巣にできる悪性腫瘍といえば、卵巣がんも心配。卵巣がんの場合、確実な検診方法がないこともあり、早期発見が難しいのが現状だとか。
「卵巣はお腹の中でぶらぶら固定されない状態になっています。そのため、がんが大きくなっても周囲の臓器を圧迫することが少なく、初期の自覚症状が乏しいのです。すぐに腸表面などに播種性転移(種をまいたようにがん組織が小さく無数に広がること)をし、約6割の人は進行がんとして発見されます。お腹の張りや下腹部のしこり、脇腹の違和感、背中・腰の痛み、貧血、頻尿といった症状がある場合は、すぐに受診してください。」(同)
また、卵巣がんの中にも、細胞の性質によって、早期で発見されてゆっくり成長するものと、進行が早いタイプがあるとのこと。では、卵巣がんを回避するには、どうすればいいの?
「卵巣がんのリスクが高いのは、家族や親戚に卵巣がん、乳がん、大腸がんなどの既往がある人や卵巣の子宮内膜症(チョコレート嚢胞)をもつ人、妊娠・出産の経験が少ない人、不妊症などです。特に、母親や姉妹に卵巣がんがある場合、リスクは5~10倍になります」(同)
排卵と大きな関係がある卵巣がんは、排卵を抑制するピル(経口避妊薬や月経困難症治療薬)を飲むことでリスクが低下するそう。内膜症や月経困難症は我慢せず、早めに治療することが肝心。まずは自分がリスクの高い危険因子を持っているかどうかを自覚することが大切とのこと。早期発見のため、婦人科検診は必ず定期的に受けて。
医学博士、順天堂大学産婦人科学講座主任教授。埼玉医科大学総合医療センター産婦人科教授などを経て、2007年から現職(順天堂大学医学部附属順天堂医院産科・婦人科)。順天堂大学医学部付属順天堂医院母子医育支援センター副センター長、同がん治療センター教授(併任)。『新版 赤ちゃんが欲しい―妊娠力を高める生活のヒントから高度生殖医療の最新情報まで』(主婦の友ベストBOOKS)など、著書多数。
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